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自動車事故による重度後遺障害者の「介護者なき後問題」

 本サイトにおける「介護者なき後」とは、自動車事故による重度後遺障害者の子どもを持つ介護者が亡くなった場合に如何に対処するかということのみに限定されるわけではなく、自らが介護できなくなった場合に、安心できる子どもの生活環境を確保することが難しく、それが介護者の精神的な負担となっていることを指します。
 独立行政法人自動車事故対策機構(ナスバ)の平成16年度調査によると、自動車事故による重度の脳損傷者(遷延性意識障害者)の6割は、親が介護している世帯でした。また、平成20年度にナスバの介護料受給者世帯(自動車事故による脳損傷者の子どもを介護している親世帯)を対象に行った調査によると、「親なき後に子どもの介護を頼める人がいる」と回答した親は、全体のわずか2割程度でした。しかも、そのうちのほとんどが、重度後遺障害者の兄弟姉妹に介護を当てにせざるを得ない状況にあります。
 このように、「介護者なき後」は、重度後遺障害者の家族にとって、非常に深刻な問題となっています。



参考:自動車事故による重度後遺障害者の「親なき後」に関する調査報告書について
http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha005_090423.html

 重度後遺障害者である子どもが、「介護者なき後」も十分な介護を受け、本人が自分の人生を少しでも豊かに歩むことができるためには、様々な準備が必要です。「生活の場の確保」、「生活資金の確保」、「財産の管理」、「介護サービス事業者との契約」、「身の回りの世話や安否の確認をしてくれる人の確保」、「本人の代わりに契約や同意をする後見人となる人の確保」など、多岐にわたります。また、そのどれをとっても、簡単に決められるものではありません。「介護者なき後、親なき後」の子どもの生活資源を確保することは容易ではなく、希望する水準のものが確保できないことも少なくありません。
 このように「介護者なき後」は、日々の介護や、交通事故後の裁判等により、心身を酷使している親にとって、精神的な負担となっています。しかし、事前に情報を集めることや、具体的な手続きを進めておくことにより、将来の見通しが少しでも描けるようになれば、その負担も軽減されてゆくのではないかと考えます。



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