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「介護者なき後」における成年後見制度活用の具体例

 「介護者なき後」の成年後見制度の事例としては、親が亡くなった後に成年後見の申立てをするケースが多くみられます。しかし、選任される成年後見人と本人との相性や、どのような人が選任されるかがわからないといった課題もあることから、親が健在なうちに検討しておくことが望ましいと考えられます。可能であれば、親が亡くなる前に成年後見の申立てを行い、成年後見人を選任しておくとよいでしょう。
 以下に、実際に「介護者なき後」に成年後見制度を活用した事例を掲載します。

 法務省HP 
  http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html#a10
  親族以外の第三者が成年後見人に選任された事例より転載

 事例1:母の死後、叔母が申立てを行った事例

  本人の状況:統合失調症
  申立人:叔母
  成年後見人:司法書士
  成年後見監督人:社団法人成年後見センター・リーガルサポート

 本人は20年前に統合失調症を発症し、15年前から入院していますが、徐々に知的能力が低下しています。また、障害認定1級を受け障害年金から医療費が支出されています。
 本人は母一人子一人でしたが、母が半年前に死亡したため、親族は母方叔母がいるのみです。亡母が残した自宅やアパートを相続し、その管理を行う必要があるため、母方叔母は後見開始の審判の申立てを行いました。  
 家庭裁判所の審理を経て、本人について後見が開始されました。そして、母方叔母は、遠方に居住していることから成年後見人になることは困難であり、主たる後見事務は、不動産の登記手続とその管理であることから、司法書士が成年後見人に選任され、併せて社団法人成年後見センター・リーガルサポートが成年後見監督人に選任されました。


 事例2:世話のできなくなった母が申立てを行った事例

  本人の状況:重度の知的障害 
  申立人:母
  成年後見人:社会福祉士

 本人は、一人っ子で生来の重度の知的障害があり、長年共に暮らしていた母が、本人の障害年金を事実上受領し、本人の世話をしていました。ところが、母が脳卒中で倒れて半身不随となり回復する見込みがなくなったことから、本人を施設に入所させる必要が生じました。


 そこで、本人の財産管理と身上監護に関する事務を第三者に委ねるために後見開始の審判を申し立てました。
 家庭裁判所の審理を経て、本人について後見が開始されました。そして、本人の財産と将来相続すべき財産はわずかであり、主たる後見事務は、本人が今後どのような施設で生活することが適切かといった身上監護の面にあることから、社会福祉士が成年後見人に選任されました。




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