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報道発表資料

後席シートベルトを着用しないと、後席乗員に重傷・車外放出の危険があります〜後席シートベルト着用効果の解析結果について〜

平成18年7月25日

独立行政法人
自動車事故対策機構企画部
電話 03-5276-4455


 自動車事故対策機構は、乗員のシートベルト着用率を向上させることが自動車事故による死亡重傷者数の削減につながることから、特に着用率の低い後席シートベルトの着用効果について技術的検証のため平成18年1月20日、前面衝突実験を行いました。このほど、前面衝突実験の解析結果がまとまりましたのでお知らせします。

○結果概要について
    1. 後席シートベルトを着用しない場合には、後席乗員が重傷以上になる確率が高く、車外放出の危険がある。
    2. シートベルトを着用をしていない場合には、後席乗員が前席へ衝突することにより、前席乗員が大きな傷害を負う可能性がある。
    3. 後席乗員がシートベルトを着用している場合は、乗員がシートベルトにしっかりと拘束され、シートベルトを着用していない場合と比較して、傷害を受ける確率が大きく低減される。

後席シートベルト非着用 乗員の頭部重傷確率(脳損傷確率:AIS 4+)
後席シートベルト非着用
*後部座席の乗員がドライバーの頭部に衝突 乗員の頭部重傷確率(脳損傷確率:AIS 4+)
注: AIS 4+:頭部においては、頭蓋骨骨折、脳挫傷や脳震盪重篤や死亡に至る重症度を示す。
*後部座席の乗員がドライバーの頭部に衝突 注: AIS 4+:頭部においては、頭蓋骨骨折、脳挫傷や脳震盪重篤や死亡に至る重症度を示す。


○各ダミーの測定結果の概要
    (後席乗員への傷害−女性ダミー)
     シートベルト非着用の場合、頭部が前席乗員頭部と、膝部が前席シートバックと衝突し、頭部と大腿部の重傷率がきわめて高い値として計測されました(頭部重傷確率AIS4 95.4%、大腿骨骨折確率99.8%)。これに対して、シートベルト着用の場合、シートベルトによってダミーが拘束されているため、客室内との衝突による傷害を負う可能性は低いものでした。ただし、ダミーがしっかりと拘束されているため、シートベルトによる負荷が胸部に加わるということもわかりました。女性ダミーについてはまだ使用実績が多くはなく、傷害データも不明な点が多いため、今後、データの蓄積が必要であると考えられます。

    (後席乗員への傷害−子供(3歳児)ダミー)
     チャイルドシートハーネス非着用の場合、子供ダミーが客室内を飛び、前席シート、ルーフ、インストルメントパネルに続けて衝突しました。その際、ダミーの計測ができない部位が客室内の部位と衝突したため、これらの部位の傷害を評価することができませんでした。しかし、衝突の状態によっては、車外に放出される危険性もありました。一方、チャイルドシートハーネスを着用した場合は、頭部と客室との衝突もなく、安全性が確認されました。

    (運転者への傷害−男性ダミー)
     後席女性ダミーがシートベルト着用の場合は、後席乗員と干渉せず、傷害値も後席乗員を搭載していない場合と変わりませんでした。しかし、後席女性ダミーがシートベルト非着用の場合には、後席ダミーが運転席シートバックや運転席ダミーに衝突することによって、運転席ダミーの頭部や胸部の重傷率が高くなりました(頭部重傷確率AIS4 30.8%)。

乗員傷害値
  後席女性ダミー(AF05) 後席3歳児ダミー(3YO) 運転席ダミー(AM50)
  ベルト着用(TRIAL01) ベルト非着用(TRIAL02) チャイルドシートハーネス着用(TRIAL01) チャイルドシートハーネス非着用(TRIAL02) 後席乗員なし(JNCAP) 後席乗員ベルト着用(TRIAL01) 後席乗員ベルト非着用(TRIAL02)
頭部傷害値HIC15 972(1) 2403(700*) 466(1) 138(570*) 358(700*) 344(700*) 1218(700*)
胸たわみ(mm)(2) 49.5(41***) 1.0(52*) 25.2(34*) 6.6(34*) 27.2(50**) 25.8(50**) 29.2(50**)
大腿骨荷重右(kN) 0.1(6.8*) 14.3(6.8*) 計測なし 計測なし 0.3(10.0*) 0.4(10.0*) 0.4(10.0*)
大腿骨荷重左(kN) 0.2(6.8*) 6.8(6.8*) 計測なし 計測なし 1.8(10.0*) 1.7(10.0*) 1.6(10.0*)
注  表の( )は傷害基準値であり、*FMVSS208、**ECE R94、***Mertz(STAPP 2003)による。
(1) 頭部が室内と衝突していないため、HIC15を頭部の傷害評価として用いることには議論がある。
(2) 胸たわみについては、ベルト着用では、胸骨にショルダーベルトによる集中荷重が加わる場合の傷害基準値を表示した。ベルト非着用と3歳児5点ハーネスチャイルドシートでは、胸郭が一様にたわむ分布荷重の場合の傷害基準値を表示した。

※分析は、名古屋大学大学院工学研究科水野幸治助教授に委託し、自動車アセスメント衝突安全技術検討WGにおいて審議していただきました。


○実験方法

     実験は、ファミリータイプのワゴン車を用いて、後部の座席に女性ダミー及び3歳児ダミーを搭載して、自動車アセスメントのフルラップ前面衝突試験と同様に、時速55km/hでコンクリートバリアに正面衝突させ、後席シートベルトを着用した場合と着用しない場合で、ダミーが受ける傷害値を分析しました。
衝突実験条件
図:衝突実験条件
AIS(Abbreviated Injury Scale):自動車事故などによる傷害の重症度を表す指標、AIS4は重症の傷害レベル
HIC(Head Injury Criterion):ダミーなどの頭部の加速度から求められる頭部傷害値。AISと相関がある
FMVSS208(Federal Motor Vehicle Safety Standards):米国連邦自動車安全基準の一項目で、前面衝突時の乗員保護の基準
ECE R94(Economic Commission for Europe):国連の自動車技術基準の一項目で、前面衝突時の乗員保護の基準
Mertz(STAPP2003):様々な体格の乗員について、傷害値と傷害確率の関係をMertzが計算したもの

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